• 意匠HOME>
  • 模倣品・類似品阻止に使える意匠登録

模倣品・類似品阻止に使える意匠登録

 意匠登録される意匠は、基本的に、工業デザイン(インダストリアルデザイン)です。一般には、「デザイン」というコトバのイメージから、意匠を出願できるのは、服やバッグ、家具、自動車のボディなどのように、見栄えによって売上げが大きく左右されるような特定の業種に限られる、と誤解されていないでしょうか。
 実は、意匠登録できるネタは、およそほとんどの業種に存在します。例えば、あまり見栄えを問われないと思われるような工具関係、機械関係などのプロダクトデザインや、ペットボトルなどのパッケージデザイン、こんなものが意匠になるの?と思われるような食品関係などのデザインでも、意匠登録されているものが多くあります。
 下の登録例1~4はその例で、登録例1は「架空地線」、登録例2は「レンチ」、登録例3は「有刺鉄線」、登録例4は「すし」(上から見た意匠図面)です。その他にも、端子、ねじやくぎ、糸や紐など、およそほとんどの業種に関わる物品のデザインが意匠登録の対象となっています。
 もし「自分の業種は関係ないから」と思い込んで意匠登録制度の活用に見向きもしなかったのであれば、改めて意匠登録のネタ探しをしてみると意外にたくさん転がっているかもしれません。

登録859874-011 登録1216209号
登録例1(登録859874-011) 登録例2(登録1216209号)
登録第270518号 登録第1101854号
登録例3(登録第270518号) 登録例4(登録第1101854号)

 一般的に「デザイン」と言うと、"おしゃれ" "洗練された" "スマートな" といったような形容詞が浮かぶと思います。例えば、服やバッグ、家具、自動車等のデザインは、まさにこれらの形容詞が当てはまるものが多いと思います。このような一般的なイメージから、意匠登録できる意匠は、"おしゃれ"なものでなくてはならない、と思われてないでしょうか?
 実は、必ずしもそうではありません。意匠法が保護しようとする「意匠」は、"おしゃれ"でない工業デザインでもよいのです。例えば、下の登録例5をご覧下さい。これは「交通信号機灯」の意匠であり、それを真正面から見た意匠図面です。また、登録例6は「手摺付足場板」の意匠、登録例7は「機能性食品」の意匠です。これら工業デザインについてはどうでしょうか?
 意匠法が保護しようとする「意匠」は、何らかのデザイン処理が施されていればよく、必ずしも"おしゃれ"なデザインである必要はないのです。そして、そのデザイン処理は、見栄えについて意図的に行う場合だけでなく、機能を追求し洗練させていったら結果的にデザインができた、というものでもよいのです。そういう観点から見ると、確かに、登録例5~7も、デザイン処理が施された工業デザインであることは明らかですね。

登録第1062947号 登録第1015493号 登録第1053748号
登録例5(登録第1062947号) 登録例6(登録第1015493号) 登録例7(登録第1053748号)

 製品の機能・構造を特許として権利を取得しようとすると、厳しい特許要件をクリアしなければならないので、ちょっと敷居が高くて無理かな、と思われる場合があります。特許としては権利化が難しそうでも、技術的な意味があるため他人に真似されたくないという場合は、意匠としての権利化を考えてみてはいかがでしょうか?
 特許権取得を諦めざるを得ないような形態こそ、模倣品・類似品が出回りやすいものです。苦労して開発した製品だったり、結構売れそうな製品であれば、なおさら意匠登録で模倣品・類似品の阻止を計ることが重要だと思います。

特許・知財のBESTパートナーあいぎ特許事務所(名古屋)の意匠登録出願サイト